民意と官意と大きな声 ~外来生物法のパブリックコメントから~(12)
また、ずいぶん間が空いてしまいましたが、続きをさせていただきます。 さて、いよいよ迎えた「31日の全体会合」ですが、議事録は下記にあります。 第2回 特定外来生物等専門家会合議事録 この会合は、オオクチバスばかりではなく外来生物全体の会合ですので、いろいろな分科会からの報告が次々と上がります。この中で「セイヨウオオマルハナバチ」と「オオクチバス」以外のものについては、すんなりと報告内容が了承されます。 そして、「セイヨウオオマルハナバチ」について、少々突っ込んだ議論がなされますが、こちらも大筋、報告どおり、「一年、再検討する」ということで、了承されます。 そして、いよいよオオクチバスの議論になります。 まず、多紀委員(小グループ座長)から、小グループの結論について報告があります。 資料3-4 オオクチバスについて 内容についてはもう繰り返しませんが、「指定は必要だけれど、猶予期間を置くべし」という結論が、同委員会で報告されます。 さて、その意見いついて、まず村上委員(哺乳類委員)から、かなりしつこいまでの「確認」が行われます。 【村上委員】 新聞報道によれば、小池大臣の意向を受けて、環境省は指定する方向にしたというのが載っていましたが、これはうそなんですね。 三度、四度と繰り返されるこの追及をさえぎるように、小野座長がこう割って入ります。 【小野座長】 特定外来生物のこの委員会の座長として、私の感想を申し上げておきますが、非常に私はフライングは困ったことだと思ったんです。というのは、これだけの真剣な議論について、非常に難しい問題を議論しながら動いているわけでありますので、それをどういうふうにご理解いただいたかわかりませんけれども、責任のある立場の人がぱっと言っていただくと、影響は甚大だと。しかしその方向性についてはとやかく申しませんけれども、少なくとも慎重であっていただきたいというふうに私は要望したいと思っております。 このように、大臣の「ツルの一声」を否定することから、議論は始められました。 そして、議論は続けられますが、「バスの指定は猶予する」という意見に対して、村上議員が反対意見を表明します。 ○広い水域でいちいち影響を証明するなんて非常に難しい。「あるところできっちり証明されたら」、広い水域でも証明されたものとして扱うべき(狭い水域でバスの影響のデータはあるが、バスの影響が完全に証明されているではない、という小グループの意見に対して) ○まだバスが拡散していないところはあるのだから、指定することには意味がある。 ○防除の準備がどうこうというのであれば、他のグループもみんな指定できなくなる。「私はもう指定した上で、その後で考えるべきだと。」 次に、岡(敏)委員(経済学)が、意見します。 ○セイヨウオオマルハナバチは、一年待つことに意味が見出せるが、バスを半年待つ理由が釣り人の心情やバス釣りへのイメージの問題なら、半年待ったところで何も変わらない。 「半年延期するということに法律上さしたる根拠が認められないということが疑念です。」 この「半年」の意味について、「上杉企画官」が、指針をまとめる時間等の理由を挙げますが、岡(敏)委員は「理解できない」と一蹴、いくつかのやり取りはありますが、小野座長が、小グループの報告も、魚類グループの報告も、「指定が必要」であるという意見が「結構強い」とし、現状のデータを考えれば、まず指定することが重要だ、として「耳を澄ましてお聞きいただきたい」と念押しした上で、下記のようにまとめます。 オオクチバスについては、その生態系等にかかわる被害を防止することが喫緊の課題であり、特定外来生物に該当するものと考えます。よって、第一次の指定対象に含めることが適切であると考えます。なお、既にオオクチバスが広範囲に分布している実態にかんがみて、防除をどのように進めていくかについての早急な検討も重要であると考えます。 この時点で、オオクチバスがリストに名を連ねることが決まりました。 小野座長の議事の進め方は、たしかに強引な印象も持ちます。ですが、そもそも小グループの「報告」が、釣り人の「心情」やら「イメージ」やらの問題を理由としていて、科学的な根拠に乏しかったことが、ここで露呈した格好です。 そう思ってみると個人的には、「本当に茶番」に終始した結果が、最後の最後に噴出した、と、言えそうに思います。 さて、この後に意外などんでん返しが待ち構えていました。申し訳ありませんが、まだ続きます。
民意と官意と大きな声 ~外来生物法のパブリックコメントから~(11)
本業が佳境を迎えていたことと、NHK問題がらみもあって、相当間が空いてしまいました。今さらですが、続けたいと思います。 さて、なんとか結論を出した「オオクチバス小グループ」ですが、この結論を受けた「魚類グループ会合」で、この取り扱いを協議します。 第2回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(魚類)議事録 ここで、役所のほうからまず、大臣の意見として下記のような説明があります。 今日大臣からオオクチバスについてはまず指定ということを考えるべきであるという指示がありました。自然環境局長の私、あるいは担当の自然環境局としては、それを前提に物事を考えたいというふうに思っております。先生方同時に今日これからしていただくご議論、それから31日の専門家の全体会合のご意見が重要であることは引き続き同じでありますので、闊達なご議論をぜひお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。この魚類グループ会合と小グループでは、実は座長が同じ多紀氏で、細谷氏も両方に顔を出しています。 多紀座長は、座長という立場もあるせいか、あまり意見しませんが、規制派の3人の委員が「苦慮の末最終的には同意をしてくださった」と前置きをして、結論を提示します。 両方の委員を兼ねていた細谷委員は口を極めて小グループの結論には納得できないと言います。他の委員も、すぐにも指定する必要性はあるというのが共通認識のようですが、「準備期間」「助走期間」という言い方で、この結論で行くのもやむをえないという結論でだいたいまとまります。そして、「半年後をめどに指定の方向で検討する」という小グループの結論を、魚類グループの結論として全体会合に報告すると締めくくりました。 ただし、このグループ会合では、バスの指定がどうあっても必要で、「できれば明日からでも」という意見では間違いなくすべての委員の一致しています。ですが、小グループ会合の結論を尊重するということと、この問題がそう簡単ではなく、指定することが混乱を招くことを意識して、「落としどころ」として、この結論を掲げていたものといえます。 そして、「31日の全体会合」を迎えます。 (まだ続く)
民意と官意と大きな声 ~外来生物法のパブリックコメントから~(10)の、続き
だいぶ間が空いてしまいました。すみません。 さて、そんなこんなで、実のある議論はされないまま、会合は時間切れを迎えます。そんな場合でも、結論を出さないといけないところに、こういった会合の問題点もあるとは思うんですが、それはおいておきましょう。 意見の統一を見れない場合に、お役人のとる方法はだいたい決まっておりまして、「間を取る」ことになります。その結果が、この文章です。 オオクチバスの取り扱いについて ざっくりといえば、指定する必要性については認めるものの、いろいろと事情があるのでさらに検討を重ね、半年後をめどに「指定に向けた検討」を行う、としました。 すなわち、「直ちに指定はしない」ということと、「指定はする」ということで、妥協を図ろうとしたことになります。座長も、「玉虫色」の表現だとはしながらも、前に進むためにはやむなし、何とかこれで了承してくれ、と言って、なんとか場を収集しようとします。 しばらくいろいろとやり取りがありますが、「ぎりぎりの線」ということで、多くの委員が「やむをえない」ということで収まりました。 ここで、ひとつ思い出していただきたいのは、この委員会は、指定の必要性を議論する委員会としては、「孫」委員会になり、上記の文書は、上の委員会に対して進言をする、という性格の文書になっています。実のところ、この性格が後に小池環境大臣の発言も絡んで、問題に発展するのですが、今回はこの辺で。
民意と官意と大きな声 ~外来生物法のパブリックコメントから~(9)の続き
さて、その後の議論ですが、丸山委員の言を借りれば、「本当に茶番」に終始しました。 まず、丸山委員が言っているそばから、水口委員が「生態系」という言葉に食って掛かります。 「生態系等」という言葉については、「外来生物法」にいうところの「生態系等」と、学術的に言う「生態系」とは違うものだということは、議論の中でも何度も説明されることになりますがその後も、水口委員はこの2者を意図的にではないかと思えるほどに混同し、議論を発散させてしまいます。 念のため、法律で使用される用語というのは、よほど明らかな言葉で無い限りはその法律の中で定義づけがされています。そこで、「生態系等」については、 この法律において「生態系等に係る被害」とは、生態系、人の生命若しくは身体又は農林水産業に係る被害をいう。と、明確に定義されております。 それなのに、学術的な意味での「生態系に対する被害に関する知見が無かった」という別の文書の表現を、この法律でいうところの「生態系等にかかる被害」に対する知見が無いといっていると、水口委員は持ち出し、議論を空転させたりしました。 この委員会の中では、たとえば密放流に関する具体的な目撃情報が示されたり、「放流する稚魚に混入したバスが拡大の原因だ」とする説に対する反証なども数多く提示されていました。それが、このような「空転」のためにほとんど議論されず、提示されただけで終わってしまいました。 一言で言えば、何でこんな人が委員に混じってしまったんだろう、そんな疑問を持ちました。 (続く)
民意と官意と大きな声 ~外来生物法のパブリックコメントから~(8)の続き
最近、追加のペースがいっそう遅くなって申し訳ないです。公私いろいろありまして... 申し訳ないと思いつつ、続けるだけは続けておりますのでよろしくお願い申し上げます。 さて、全国内水面漁業連合会の橋本氏が、続いて意見します。 橋本氏はきっぱりと、「一尾たりとも日本にいてはいけない」と従来から言っていると言った上で、たとえば10ある池のうち、一つくらいバスでもいいといえなくは無いが、これまで日本では「それが絶対守れない」、だから全面的に禁止するしかないといいます。 今回の法律の枠でも、実効性については疑問があるが、それでもちゃんと管理する方向に向かうのではないかという期待があり、だからぜひとも選定して欲しいと主張しました。 次に、近畿大学の細谷委員が意見します。 細谷委員は、生物多様性は広い概念であるので、野生生物や水産業でさえも視野に入れ、個別のものにとらわれた議論はすべlきでないとした上で、強く規制の必要を訴えます。 バスが日本の在来種に影響を与えている理由について委員なりの見解を述べた上で、バスが「負の効果」を「日本の生態系に全部当てはめてしまった」のが現況だという考えを示し、「このような結末ははなからわかっていた」とします。西欧に比べても多様性の多かった日本の水系のうち、特に重要だと考える4水系のうち、西表島以外はすべて「汚染」されてしまったと嘆き、「生物多様性、水産資源に与える影響についてはもう既に言い尽くした」といいます。 そして、「外来種への取り組み姿勢は、その国の文化のレベルを図るよいツール」だというのが世界の認識だとした上で、「我が国が文化国家であるかの踏み絵そのもの」だと言って締めくくりました。 次に、東京海洋大学の水谷委員が意見します。 水谷委員は、肉食性外来魚の社会的評価に30年来関心を持っているとした上で、法律の「生態系」という言葉に異論を唱えます。すなわち、生物群集に対する影響まで「生態系への影響」とくくってしまっていると。 その上で、配布された報告書にある内容について、たしかに埼玉県のあるため池では、生物群集への影響があることを示しているけれども、そうするとこの法律は「明らかになっている小さなため池における生物群集への影響を全国の湖沼の生態系に当てはめようという話」だとし、それははっきりいって「無理です」といいます。 そしてそもそも法律が「間違ってつくられて」しまっていて、「何か間違ったことを言ってもみんなで言えば本当になるみたい」に事態は進行していると主張します。 そして、これまで明らかになっているのはせいぜい小さな湖沼レベルの話で、「全国の湖沼という話ではない」として、地域を限定して規制したり、輸入などを制限するのはともかく「何が何でも全国一匹たりともという話みたいになっていくような対応の仕方は非常に問題が起こるし、法律的にも問題が出てくるだろう」と締めました。 最後に、東京海洋大学の丸山委員が意見しました。 丸山委員は、もう、言う事が残ってないようないようだけれど、と、前置きした上で、この問題は「いろいろな不幸ないきさつがあって、非常に混乱してきている」と言います。水口氏の発言もそうだが、「密放流」や「生態系」という「言葉」をめぐってこういった「議論」が行われてきたが、それから「新しく何が生まれたのかは全然わからない」といいます。 そして、「生態系」というのは、そういう「概念」でとらえれば生物界で起こっていることを、丸ごとに近い形で理解できるのではないかという考えで提唱されているもので、「実在でも何でも」ないから、法律とからめる必要は無いのに、これまで、そういう議論が多かった。非常に嫌だったといいます。 そして、こう結びました。 「今までそういう形で落ちついた話し合いができなかったことを、この場を利用して、本当に具体的に、ただ言い逃れでそういう言葉を利用するのではなくて、今我々が持っている知識をどう生かして、本当にお互いに納得できる情報をどれだけ増やすかという格好で、なるべく具体的にやっていきたいと。それがなかったら、この会議は本当に茶番だと私は思っています。」 .....娘が泣き出しました。すいませんが、今日もここまでで。 (続きます)
民意と官意と大きな声 ~外来生物法のパブリックコメントから~(7)の続き
さて、続いて「全日本釣り団体協議会」の來田氏から、「外来魚が日本の在来魚に大きな影響を与えておる」ことは共通認識であり、現状、全国に散ってしまったバスを管理することが「不能」であるとした上で、それでもバスを「完全否定」することが、反対される原因だと指摘しました。その上で、釣り人を含めて「納得しながら同意しながら整理整頓」する方策を探すことが課題だと主張します。 そして、「生命体」である、釣られた魚たちへの感謝の気持ちを持つのが釣り人の心であり、この場が、その中で秩序を作ってゆく場であって欲しいしと述べ、自分たちが「監視」している限りでは密放流などは確認できないし、環境破壊などその他の原因もあるはずなのに、すべてバスのせいにするなら、釣り人の説得は出来ないと主張しました。 それに対して、「滋賀県立琵琶湖博物館」の、中井委員が、來田氏の意見に対して「大分重なるような考えを」持っているとしながらも、バスは「非常に特別な」存在であるとします。 その理由として、「これだけ利用する人たちがいながら生態的影響が懸念される」こと、そして、食魚性よりも旺盛な繁殖力があることだとします。 その上で、この法律は管理が必要な生物について管理しようというものであって、(在来種や保護対象でもと断った上で)シカやクマ、カワウといった例を挙げ、「悪いのは我々人間」であるが崩してしまった自然のバランスを保つため、「人間が天敵がわり」にならないといけないところもあるとし、大変気の毒ではあるけれど、「心の痛みを覚え」つつ、「管理してゆく」必要があると主張します。 (続く)
民意と官意と大きな声 ~外来生物法のパブリックコメントから~(6)の、続き
それで、この会議の中身なんですが... まず、私がこうあって欲しかった形というのは、 ○「生態系等」に対する被害について、科学的なデータを出す。 ○その妥当性について議論する ○その結果、「生態系等」への被害が否定できないのであれば、指定する。そうでないなら、指定しない。 と、わりと科学的な議論を期待していました。 で、第一回の会合はどうだったかというと、 第1回 オオクチバス小グループ会合 議事録 まずは、お役人のほうから、法律の概要と、考え方、そしてたたき台としての「オオクチバスに係る情報及び評価(案)」について説明があり、その後、各委員の自己紹介をしつつ、各委員のスタンスが述べられます。 まず、日本釣振興会の高宮氏から、法律の趣旨には賛成であり、海外に比べてむしろ遅かった感もあるとの感想が出ます。 しかし、まず、「外来種」というのはバス以外のも多数いて、むしろバスは少数のほうであり、これらを回復させるためには、人為的な手を加えることよりも、「自然そのものに決めさせるべきというのが本筋」ではないか、そのためには、バスの食害や密放流について「真実に基づかない憶測で情報発信されている事が余りに多」いので、まず調査を重ねて「実態把握」することが必要だという主張がなされます。 次に、瀬能委員(神奈川県立生命の星・地球博物館学芸員)より、高宮氏の主張に対して、バスが「他の外来生物とは比較にならないほど大きな影響を与えているという認識」であると表明した後、すでに多くの調査がなされ、食害や密放流等についてはすでに実例が挙がっており、「特定外来生物に指定」すべきであるとの主張がなされました。 (とりあえず、続く)
民意と官意と大きな声 ~外来生物法のパブリックコメントから~(5)の続き
さて、ここで、上流から追ってゆくか、下流か追ってゆくか悩ましいところですが、下流から追ってゆくことにしましょう。 オオクチバス小グループ会合の、議事等は、前述した下記のURLに揃えられています。 (最後の会合の議事録は、ようやくアップされたようです。) 特定外来生物等の選定について まず、「オオクチバス小グループ会合」の、メンバーを見てみましょう。 委員 多紀保彦(座長) (財)自然環境研究センター理事長 瀬能宏 神奈川県立生命の星・地球博物館学芸員 中井克樹 滋賀県立琵琶湖博物館主任学芸員 細谷和海 近畿大学農学部教授 丸山隆 東京海洋大学海洋科学部助手 水口憲哉 東京海洋大学海洋科学部教授 利用関係者 橋本啓芳 全国内水面漁業協同組合連合会専務理事 來田仁成 (社)全日本釣り団体協議会専務理事 高宮俊諦 (財)日本釣振興会副会長・外来魚対策検討委員会委員長 この中で、終始指定に慎重な意見をおっしゃっていたのは、水口委員と、釣り関係の団体の代表である來田氏と高宮氏、他の委員と、漁業団体の代表である橋本氏は、程度の差こそあれ、「指定が必要」というスタンスを終始とっています。特に、瀬能氏、中井氏、細谷氏らは多くの資料を提示して、必要性を訴えました。 ...で、実際の議論なんですが、傍から無責任に見ていると、まぁ、へたなドラマよりも面白いくらい荒れまくってます。次回以降、触れてゆきたいと思います。 それで、今回は皆さんにお願いなんですが、これらの委員について、どういう人々なのか、何らかの情報をお持ちでしたら、ぜひお寄せください。 (また続く)
民意と官意と大きな声 ~外来生物法のパブリックコメントから~(4)の続き
すっかり間が空いてしまいました。すみません。 で、予告どおり、専門家会合の内容について追ってゆきたいと思います。 毎度おなじみ、環境省の資料です。 特定外来生物等の選定について まず、その専門家会合の位置づけを確認しておきたいと思います。 外来生物法では、「主務大臣は、第一項の政令の制定又は改廃(特定外来生物の指定のこと)に当たってその立案をするときは、生物の性質に関し専門の学識経験を有する者の意見を聴かなければならない。 」 と、されています。 専門家会合とは、この条文により開催されたものでしょう。 で、この専門家会合というのが、実は結構複雑な構造をしています。 簡単に言うと、3段構造をしていて、 「特定外来生物等専門家会合」というのが、総元締め。 その下に、「特定外来生物等分類群専門家グループ会合」というのがあって、各生物種ごとに設けられており、バスについては「魚類グループ会合」というものがあります。 しかし、実際にバスについての議論が行われたのは、「魚類グループ会合 オオクチバス小グループ会合」で、ここが、意見を「魚類グループ会合」に上げ、そこから総元締めにあがり、最終的な「意見」が述べられたわけです。 実際には、各グループの座長は上部委員会の委員であり、全体としては一つの委員会なのですが、じつは、この構造の複雑さが今回の騒動に少々絡んでいます。 短くてすみませんが、今回はここまでで。 (また続く)
民意と官意と大きな声 ~外来生物法のパブリックコメントから~(3)の続き
まず、前回の参照文献は細かすぎたかもしれないので、 パブリックコメントの結果について という資料も提示しておきます。ただし、こちらは質問のまとめだけですので、それに対する環境省側のコメントはついていません。 さて、では、役所のほうの分類で、 [1]被害の判定に係る科学的知見に関するコメント から見てゆきましょう。 まず、「反対」の意見を、ごく大雑把にまとめれば、次のような内容に絞られるでしょう。そして、それに対する環境省側の意見もまとめておきます。 ○科学的調査データが十分になく、選定の基準が曖昧なので指定に反対。ねつ造された資料もあるのではないか。既に日本の生態系の一部であり選定・駆除に反対。いまさら駆除するなんて納得できない。 専門家会合において、オオクチバスは生態系等に被害を及ぼすものとして評価がなされています。」 ○今、バスを防除すると、現在の生態系が崩れて、在来種に悪影響を与えたり、他の外来種が増加して新たな問題が生じる。 防除については、在来種に影響を与えることのないよう配慮が必要と考えています。 ○湖沼の環境悪化が在来魚が減少した主たる原因。オオクチバスが原因ではない。 専門家(以下同文)。オオクチバス以外の要因が存在するか否かにより、その結論が変わるものではないと考えられます。 ○環境省の以前の報告にも、「生態系への(オオクチバスの)被害の知見が無かった」とあるではないか。皇居のお堀でも、バスは在来魚と共存している。 ご指摘の報告書では、生物群集と非生物的環境を合わせたものとして定義した生態系への影響については「知見はほとんどなかった」としていますが、ブラックバス等による生物群集への影響があることについて、皇居外苑壕の例も含めて記述しています。本法において生態系への影響は生物群集への影響を意味しています。 簡単に言ってしまえば、 ○専門家会合で「指定が必要」との結論が出ているから、科学的知見は十分だし、それに対して認識を変える必要のある情報は無い。 ○他の原因があるからといって、指定をしなくてよい理由にはならない。 ○防除は慎重にやります。 ○この法律でいう「生態系等への影響」というのは、生物群集への影響のことだ。 というのが、環境省の「返事」ということでしょう。 ここで、問題があるとすれば、コメントの中でも指摘されている「専門家会合の科学的知見」が、信頼できる内容なのか、ということ、そして、防除は実際にはどのように実施されるのか、ということでしょう。 次回からは、この2点を、専門家会合の議事などを見ながら考えてみたいと思います。 (まだ続く) < 前のページ次のページ >
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