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がっかりすることないです。松本先生。

冥王星が「惑星」ではなくなるという
Excite エキサイト : 社会ニュース
チェコのプラハで総会を開いている国際天文学連合(IAU)は最終日の24日、全体会議で惑星の定義案を議決、1930年の発見以来76年間、第9惑星の座にあった冥王星を惑星から降格する最終案を賛成多数で可決した。

それに対して、あの松本零士先生が、こんなことをおっしゃっているとか。
 アニメ「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」では、冥王星は敵の前線基地が置かれたり、人間の墓地として利用されるなど、太陽系の重要な惑星として描かれた。
 原作者である漫画家の松本零士さん(68)は「冥王星こそが太陽系の果てで、そこを離れることが太陽系から外宇宙に旅立つことだと描いてきた。今回の決定は、論理的には正しいのだろうが、多くの人が少年のころから抱いていた夢、心情的なものにも配慮してほしかった。心構えができていないうちに突然決まってしまった感じがする」と残念そう。そのうえで「冥王星はこれからも太陽系の一族だ」と強調し、存在感が低下しないよう何らかの形で配慮してほしいと訴えている。


松本先生も、今回の一件について、誤解されているんではないでしょうか。
今回の決定の背景は、冥王星の周辺には冥王星と同程度の「星」が、かなりあるらしいことがわかったからです。いってみれば、太陽系の一番外側には、小惑星帯のようなものがもうひとつ取り巻いていて、冥王星というのは、その一つらしいことがわかったということ。たしかに今までの太陽系のイメージとは異なるかもしれませんが、それはそれで、SF作家のイマジネーションをかきたてるには十分なネタなんじゃないでしょうか。

自分としては、今回の決定は、むしろ冥王星という「天体」を、特別なものと位置づけるものではないかと思います。惑星でも、もちろん衛星でもなく、太陽系の一番はずれを、静かに、ゆっくりと回る天体郡、「冥王星系天体」と呼ぶ案もあったといいますけれど、むしろ、そのほうがよっぽど「太陽系の果て」のイメージにぴったりくるんじゃないかなぁ、とか。

松本先生にはそんなことで不平をもらしてないで、SF作家らしく、ヤマトのストーリーを、新しい太陽系観にフィットさせるくらいの気概を見せて欲しかったですね。最近、「銀河鉄道物語」をVODで見倒した、ファンの一人としては。

最後に、専門家の言葉を同記事から
 ▽観山正見・国立天文台長の話 他の八つの惑星とは形成過程が明らかに違う冥王星が惑星に入らなかったことは、適切な結果だ。冥王星がなくなったわけではなく、残念に思う話ではない。今回の議論の内容を国民の皆さんに正確に伝えていきたい。

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by flight009 | 2006-08-29 23:20 | 科学技術について思うこと

民意と官意と大きな声 ~外来生物法のパブリックコメントから~(13)

民意と官意と大きな声 ~外来生物法のパブリックコメントから~(12)

また、ずいぶん間が空いてしまいましたが、続きをさせていただきます。

さて、いよいよ迎えた「31日の全体会合」ですが、議事録は下記にあります。

第2回 特定外来生物等専門家会合議事録

この会合は、オオクチバスばかりではなく外来生物全体の会合ですので、いろいろな分科会からの報告が次々と上がります。この中で「セイヨウオオマルハナバチ」と「オオクチバス」以外のものについては、すんなりと報告内容が了承されます。
そして、「セイヨウオオマルハナバチ」について、少々突っ込んだ議論がなされますが、こちらも大筋、報告どおり、「一年、再検討する」ということで、了承されます。

そして、いよいよオオクチバスの議論になります。

まず、多紀委員(小グループ座長)から、小グループの結論について報告があります。

資料3-4 オオクチバスについて

内容についてはもう繰り返しませんが、「指定は必要だけれど、猶予期間を置くべし」という結論が、同委員会で報告されます。

さて、その意見いついて、まず村上委員(哺乳類委員)から、かなりしつこいまでの「確認」が行われます。
【村上委員】 新聞報道によれば、小池大臣の意向を受けて、環境省は指定する方向にしたというのが載っていましたが、これはうそなんですね。
【審議官】 正確なものは別として、大臣としてはまず指定すべきだという考えを表明されたということで、同時に専門家の方々の見地から検討していただいているので、その結果というのを見たいということです。
【村上委員】 聞きたかったのは、それを受けて環境省が指定することに決めたという報道が載ったんですが、それは違うんですね。
【審議官】 それは報道の方の書き方というふうにご理解いただきたいと思います。今でも全体この検討の過程というのは、基本方針を定めて、専門家会合を開催をしていただいて、小グループを開催していただいて、この結論を出していただくと。その後続くのは、またいろいろな意見がございますけれども、そういった一連の基に進んできているということでございます。

三度、四度と繰り返されるこの追及をさえぎるように、小野座長がこう割って入ります。
【小野座長】 特定外来生物のこの委員会の座長として、私の感想を申し上げておきますが、非常に私はフライングは困ったことだと思ったんです。というのは、これだけの真剣な議論について、非常に難しい問題を議論しながら動いているわけでありますので、それをどういうふうにご理解いただいたかわかりませんけれども、責任のある立場の人がぱっと言っていただくと、影響は甚大だと。しかしその方向性についてはとやかく申しませんけれども、少なくとも慎重であっていただきたいというふうに私は要望したいと思っております。
 今日の議論は、そういうことで、今、審議官の方からもご説明がありましたけれども、その大臣の発言と私どもの結論とは関係ありません、直接に。後で関係するかどうかは、それはそれぞれ勝手にお考えくださればいいんであって、そういうふうに私は理解して準備を進めております。

このように、大臣の「ツルの一声」を否定することから、議論は始められました。

そして、議論は続けられますが、「バスの指定は猶予する」という意見に対して、村上議員が反対意見を表明します。

○広い水域でいちいち影響を証明するなんて非常に難しい。「あるところできっちり証明されたら」、広い水域でも証明されたものとして扱うべき(狭い水域でバスの影響のデータはあるが、バスの影響が完全に証明されているではない、という小グループの意見に対して)
○まだバスが拡散していないところはあるのだから、指定することには意味がある。
○防除の準備がどうこうというのであれば、他のグループもみんな指定できなくなる。「私はもう指定した上で、その後で考えるべきだと。」

次に、岡(敏)委員(経済学)が、意見します。

○セイヨウオオマルハナバチは、一年待つことに意味が見出せるが、バスを半年待つ理由が釣り人の心情やバス釣りへのイメージの問題なら、半年待ったところで何も変わらない。
「半年延期するということに法律上さしたる根拠が認められないということが疑念です。」

この「半年」の意味について、「上杉企画官」が、指針をまとめる時間等の理由を挙げますが、岡(敏)委員は「理解できない」と一蹴、いくつかのやり取りはありますが、小野座長が、小グループの報告も、魚類グループの報告も、「指定が必要」であるという意見が「結構強い」とし、現状のデータを考えれば、まず指定することが重要だ、として「耳を澄ましてお聞きいただきたい」と念押しした上で、下記のようにまとめます。
 オオクチバスについては、その生態系等にかかわる被害を防止することが喫緊の課題であり、特定外来生物に該当するものと考えます。よって、第一次の指定対象に含めることが適切であると考えます。なお、既にオオクチバスが広範囲に分布している実態にかんがみて、防除をどのように進めていくかについての早急な検討も重要であると考えます。


この時点で、オオクチバスがリストに名を連ねることが決まりました。

小野座長の議事の進め方は、たしかに強引な印象も持ちます。ですが、そもそも小グループの「報告」が、釣り人の「心情」やら「イメージ」やらの問題を理由としていて、科学的な根拠に乏しかったことが、ここで露呈した格好です。

そう思ってみると個人的には、「本当に茶番」に終始した結果が、最後の最後に噴出した、と、言えそうに思います。

さて、この後に意外などんでん返しが待ち構えていました。申し訳ありませんが、まだ続きます。
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by flight009 | 2006-08-16 00:54 | 連載-民意と官意と大きな声

よく止めた。

富士急ハイランドの新型コースターで、異音を感じた係員がコースターを緊急停止させたという。
Excite エキサイト : 社会ニュース
同社によると、3日午後7時50分ごろ、コースターがホームに近づき、オペレーターがブレーキを作動させた直後「ガシャ」という金属音がした。非常停止ボタンでコースターはホーム手前約15メートルで停止、乗客18人は非常点検用通路でホームに戻った。けが人や気分が悪くなった人はいなかった。営業前点検で異常はなかったという。
考え方はいろいろあるだろうけれど、私はあえて「よく止めた」と言いたい。

と、いうのは、言わずもがなの埼玉県のプール事故。あの事故についてはいろいろな問題があるけれど、最後の最後、格子蓋が外れているのが確認された段階で、ただちに流水ポンプを止めていれば、この事故は防げた可能性が高いのです。

今回の富士急ハイランドの事例では、(1)ちゃんと係員が装置を停止できるシステムがあり、(2)係員が異常を監視しており、(3)装置を安全に停止したわけです。この点、埼玉のプールとは大きく異なるわけです。

実際、今回のトラブルはたいした問題ではないのかもしれません。ですが、緊急停止させれば、このような記事になり、お客さんの受け取り方次第では、売り上げが減ることだってありえます。それでも止めたこと、それはむしろほめられるべきことで、少なくとも叩かれるべき事ではないはずです。

少しでも異常があったら止める、それは安全の鉄則です。しかし、最近は「だましだまし」運用したり、無視して無理矢理動かしてしまう、「応急処置」のまま、何年のほうっておく、そんな事例がここのところ急速に「顕在化」してきたように思います。その裏には、経済性といえば格好はいいけれど、ようは「お金第一」の、きわめて危険な文化の芽が、育ちつつあることのシグナルではないでしょうか。
JRの脱線事故、シンドラーのエレベーター事故、トヨタのリコール遅れ、パロマの湯沸かし器事故、私にはすべて、同じような根っこがあるように思えます。

とにかく、何かあったら止めること、それは何より大事なことです。その意味で、今回の富士急ハイランドの事例は、ちゃんと「止める」という「安全動作」が行われたわけで、その点はきちんと評価するべきでしょう。

富士急は、今後もこのような報道に臆することなく、「安全第一」の運行を続けて欲しいと思います。
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by flight009 | 2006-08-05 11:48 | 治安と安全について思うこと