<   2007年 04月 ( 4 )   > この月の画像一覧

実用化は大胆かつ慎重に

Excite エキサイト : 経済ニュース

リニアの実用化ということで、反論が噴出するかと思っていたら、ニュースもブログも案外冷静に受け止めているようで安心しました。

現在の東海道新幹線の建設のときに、「世界の3バカ」とまで言っていた知識人がいたようですが、現状を見てどう思っているのでしょう。愛・地球博の失敗を断言した人たちも、今は口をつぐんでいるようですが。

でも、だからあえて言いますが、実用化は慎重に進めて欲しいと思います。
逆説的ではありますが、新幹線も、愛・地球博も、内外のすさまじい逆風にさらされつつも、それらの課題に真正面から向き合い、汗と知恵を絞った結果、一定の成果を残すことが出来た側面もあるでしょう。あんまり、ちやほやしてしまうと、「誉め殺し」でかえって失敗するかもしれません。

技術的な課題もそうですが、政治的、経済的、あるいは社会的な課題もまだまだ山積しています。いざはじめてみれば、時には失敗もするでしょうし、費用や時間は予定通りには行かないものです。そういうとき、この国の「世論」はとても冷たいのです。釈迦に説法とは思いますが、それを、従事する人には十分に覚悟しておいて欲しいと思います。

温かい言葉は、そのときまで取っておきましょう。
[PR]
by flight009 | 2007-04-28 13:23 | マスコミに思うこと

「卑劣」で片付けちゃいけない

Excite エキサイト : 社会ニュース
特急電車内で女性が強姦された。当時、その車両には40人もの乗客がいたが、だれも犯行をとめようとしなかった。あまつさえ、誰ひとり車掌や外部に通報することもしなかった。信じられない卑劣さ。日本人のモラルは地に堕ちたのではないか。

被害者の方には、正直かける言葉もありません。ただ、それを「卑劣」で片付けるのは危険です。と、いいますか、このような事件は、実のところよく起こっているのです。

社会心理学では「傍観者効果」とかいうそうですが、数多くの人が周りにいたのにもかかわらず、だれも被害者を助けない、という現象は、しばしばおきることが知られています。傍観者効果というのが何なのかは、下記のページに詳しいのでご参照ください。

傍観者効果

<追記>傍観者効果とは、次のようなものです。(我流の解釈ですが。)
○「自分がやらなくてもだれかがやるだろう」「私よりできる人がいるだろう」と、『全員が』思ってしまう(多数の無知)
○「うまく処理できななかったらどうしよう」「むしろ迷惑がられるんじゃないか」と、失敗してそれを他の人に見られることを恐れる(聴衆抑制)
○「何かあっても、わるいのはおれだけじゃない」という、(自分への)いいわけをしてしまう(責任の分散)
つまり、その場に居合わせたのが「一人だけ」なら助ける、あるいは助けてもらえるのに、それが多数であるがゆえにお互いにけん制しあって、結果的に助けてもらえなくなるというのが「傍観者効果」です。
<追記終わり>

今回の事件からわれわれが教訓として得るべきことは、まわりに人がいるほど、逆にその人が助けてもらえないケースが、現実にあるということを、「知識」として持つべきだということです。それは、必ずしもその場にいる人の倫理や勇気の欠如によるものではなく、人間の心理にある「落とし穴」のひとつなのです。

落とし穴にはまらないためには、その落とし穴についてよく知っておくことが大事です。私としては、このような事件があったときこそ、「傍観者効果」のなんたるかを、社会に広く知らしめることこそ、マスコミの使命だと思うのですが。

あるいは、列車の社内の構造にも問題があったかもしれません。傍観者効果というのは、
○自分以外に問題に対処できる人間がいることがわかっている
○自分以外の人が、この問題に対処していないことがわからない
という場合に起こりやすいことですが、座席が林立して、中途半端に見通しの悪い列車の社内というのは、傍観者効果を誘発しやすい構造なのかもしれません。何らかの改善の余地もあるかもしれません。

対処しなかったものを、そうやって叩きのめすのは簡単ですが、それが再発防止に役立つかといえば、私には疑問です。むしろ、「なぜ」を冷静に問い、どうすればそれを防げるかを、精神論ではなく論理的に分析する、ある程度学術的なアプローチが必要でしょう。

いずれにせよ、そういう「基礎知識」すら微塵も感じられない、こんな記事が「報道」として扱われるということに、この国の危うさを感じます。
[PR]
by flight009 | 2007-04-26 01:25 | マスコミに思うこと

ならば兵庫県知事に聞きたい

石原知事を擁護するつもりはさらさらありませんが、さすがにこの発言はあんまりじゃないでしょうか。

Excite エキサイト : 社会ニュース
井戸知事は「阪神大震災の問題は、不意打ちだったということ。犠牲になられた方はほとんどが圧死だった」と指摘。「自衛隊派遣の有無と犠牲者の数は脈絡のないこと。関東大震災に対する備えとして、一番の防災責任者となる知事がそのような認識を持たれているのだとすると、いささか心配」と話した。

自衛隊の出動が遅かった理由についてはいろいろな意見や見方があります。ですが、「自衛隊派遣の有無と犠牲者の数は脈絡のないこと」と、本当に現職の知事が発言したのだとすると、これは由々しき問題です。

阪神の震災直後、自衛隊の出動が遅れたことについては多くの方面から批判が集まりました。当時のテレ朝系のニュースなどでは、自衛隊は大変なバッシングを受けていたのです。ですが、そのベースには「自衛隊が早く出動していればもっと助けられた命があったはず」という認識があるわけで、それ以降、「如何に迅速に、如何に効果的に自衛隊を展開できるか」を、平時から考えておくべし、というのは、阪神で得られた教訓となっているはずです。

自衛隊の出動、特に県からの出動要請が遅れたことについてはいろいろな問題点が指摘されており、単純に当時の知事だけの責任と言い切れない面もあります。ですが、この発言はそれとは次元が違います。「自衛隊派遣の有無と犠牲者の数は脈絡のないこと」と、本当に言ったのであれば、知事の発言は、この「教訓」を完全に否定するものです。

たしかに、「遅くて2000人が死んだ」というのはあまり根拠のある数字とも思えません。なくなった方の8割、5498人のうち4461人が、当日の午前中にはなくなっているので、2000人も助けられたわけが無い、というならそれはそうでしょう。(参考:http://www.hyogo.med.or.jp/EQDOTA.htm)
実際に自衛隊が動いていたとしても、当時の情報収集能力や初動体制が十分だったわけでも無いし、どれだけの人を助けられたのかはわかりません。助けられたのは100人もいるか、せいぜい数十人、もしかしたら数人かもしれません。でも、かけがえの無い命です。少なくとも「脈絡の無いこと」というほど無関係だったとは思えません。

知事の言うとおり、阪神は不意打ちであったことが被害が拡大した一番の理由です。ですが、その責任は誰にあるのでしょうか。東京は、阪神の前から、それこそ何十年も、いつ起こるかわからない大地震を、「必ず起こるもの」として対策してきたし、東京都民はそれなりには構えているといえます。知事に心配してもらわなくても、「不意打ち」を食らうおそれはありません。

兵庫県知事が、そういう発言をするなら、私もぜひ聞きたいことがあります。
「兵庫県南沖地震に対して、備えをしていなかった兵庫県の責任というものを、知事はどうお考えなのでしょうか。」
[PR]
by flight009 | 2007-04-10 01:31 | 治安と安全について思うこと

埼玉県警の人はどう思っただろう....

Excite エキサイト : 社会ニュース
 埼玉県の上田清司知事は2日、さいたま市で行われた新規採用職員就任式のあいさつで「自衛官は平和を守るために人殺しの練習をしている。国民の生命と財産を守るため。偉いと褒めたたえなければならない」と発言。それと対比して県職員の仕事について「人を疑ったり痛めつける練習をしなくてはならない仕事と違い、多くの方に喜びを与え、その喜びを自分のものに感じることができる」と語った。


ここで、「自衛隊」を「警察」に置き換えてみると、わかりやすいと思います。

警察というのは、「人を疑ったり痛めつける練習をしなくてはならない仕事」に他なりません。実際、警察官は捕縛術や射撃術を、状況によっては実際に人殺傷することを承知の上で、訓練を重ねています。言いようによっては、「人殺しの練習」と言ってもいいでしょう。そして、実際にそれを行使するケースもあります。警察官が職務上、人に向けて発砲したことは、過去にいくつも例があるのですから。

一方、実は自衛隊員が人に向かって発砲したことは、誤射を除くと一度もありません。
それを考えると、本当に、知事が他意の無い「人を疑ったり痛めつける練習をしなくてはならない仕事」の例として用いるのであれば、実際に人間に向かって銃を撃つことがある警察のほうが、むしろ引き合いに出すには適当ともいえます。
その上で、それを「人殺しの練習」などといわれれば、現場で本当にその「現実」と向き合う警察官、隊員がどう感じるのか、それを考えてみれば、知事の発言が適切か否かはおのずと明らかです。

失言というのは誰にでもあります。問題は、その後それをどのように正すかです。
続報によれば、「殺傷という表現ならよかった」とかおっしゃっているとか。思わぬ反応に多少動揺しているのかもしれませんが、頓珍漢というか、どこがどう違うのかさっぱりわかりません。

少々頭を冷やして、ちゃんと謝ってもらえればそれでいいとは思いますが、最低限、それは必要でしょう。
[PR]
by flight009 | 2007-04-03 00:10 | 治安と安全について思うこと