民意と官意と大きな声 ~外来生物法のパブリックコメントから~(3)の続き
まず、前回の参照文献は細かすぎたかもしれないので、 パブリックコメントの結果について という資料も提示しておきます。ただし、こちらは質問のまとめだけですので、それに対する環境省側のコメントはついていません。 さて、では、役所のほうの分類で、 [1]被害の判定に係る科学的知見に関するコメント から見てゆきましょう。 まず、「反対」の意見を、ごく大雑把にまとめれば、次のような内容に絞られるでしょう。そして、それに対する環境省側の意見もまとめておきます。 ○科学的調査データが十分になく、選定の基準が曖昧なので指定に反対。ねつ造された資料もあるのではないか。既に日本の生態系の一部であり選定・駆除に反対。いまさら駆除するなんて納得できない。 専門家会合において、オオクチバスは生態系等に被害を及ぼすものとして評価がなされています。」 ○今、バスを防除すると、現在の生態系が崩れて、在来種に悪影響を与えたり、他の外来種が増加して新たな問題が生じる。 防除については、在来種に影響を与えることのないよう配慮が必要と考えています。 ○湖沼の環境悪化が在来魚が減少した主たる原因。オオクチバスが原因ではない。 専門家(以下同文)。オオクチバス以外の要因が存在するか否かにより、その結論が変わるものではないと考えられます。 ○環境省の以前の報告にも、「生態系への(オオクチバスの)被害の知見が無かった」とあるではないか。皇居のお堀でも、バスは在来魚と共存している。 ご指摘の報告書では、生物群集と非生物的環境を合わせたものとして定義した生態系への影響については「知見はほとんどなかった」としていますが、ブラックバス等による生物群集への影響があることについて、皇居外苑壕の例も含めて記述しています。本法において生態系への影響は生物群集への影響を意味しています。 簡単に言ってしまえば、 ○専門家会合で「指定が必要」との結論が出ているから、科学的知見は十分だし、それに対して認識を変える必要のある情報は無い。 ○他の原因があるからといって、指定をしなくてよい理由にはならない。 ○防除は慎重にやります。 ○この法律でいう「生態系等への影響」というのは、生物群集への影響のことだ。 というのが、環境省の「返事」ということでしょう。 ここで、問題があるとすれば、コメントの中でも指摘されている「専門家会合の科学的知見」が、信頼できる内容なのか、ということ、そして、防除は実際にはどのように実施されるのか、ということでしょう。 次回からは、この2点を、専門家会合の議事などを見ながら考えてみたいと思います。 (まだ続く)
by flight009
| 2005-04-16 18:52
| 連載-民意と官意と大きな声
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